
蘇花公路は、花蓮から宜蘭を結ぶ険しく狭い道路 であり、急峻な崖の縁を縫うように走るルートとなっている。山岳地帯を通り抜けるこの道には三つの大きな登坂区間 と騒がしいトンネル があり、サイクルルートNo.1の他の区間と比べてはるかに難易度が高い。そのため、この区間は列車で自転車とともに移動することが推奨されることが多い。
しかし、蘇花公路を自転車で走ることで、絶景の海岸線を眺めながら、自然の中で爽快な冒険を楽しむことができる。困難な地形を克服する達成感を求めるサイクリストにとっては、スリリングで魅力的なルートとなる。
実際に、私たちの顧客の中にも「このルートを走るべきかどうか」迷う人がいる。以下に、私の考えをまとめる。
挑戦的なルート:長距離&登坂が多い
新城から蘇澳新までの蘇花公路は決して楽な道ではない。この区間は全長82km で、いくつものピークを越えることになり、Garmin Connectのデータによると、総獲得標高は1,675m にも達する。そのため、自分の体力を考慮し、この区間を走るかどうか判断することが重要 となる。どこまで挑戦したいかを見極めた上で、慎重に計画を立てる必要がある。

自然災害によるリスク
このルートをサイクリングする際には、いくつかのリスクも伴う。まず、自然災害によるリスクだ。地震、豪雨、台風の後には、土砂崩れや落石が発生する可能性がある。頻繁に起こるわけではないが、こうしたリスクがあることを念頭に置く必要がある。
他の車両によるリスク
次に、大型トラック、観光バス、乗用車などの他の道路利用者によるリスク がある。道路が狭いため、これらの車両が自転車を追い越す際のスペースが限られている。そのため、慎重に走行する必要がある。
さらに、もう一つの課題はトンネル内での走行 だ。このルートにはいくつもの狭いトンネルがあり、大型車両の騒音が反響しやすい。このため、トンネル内では騒音が非常に大きく、耳にとっても不快な環境 となることがある。

新蘇花公路
2021年に交通部公路総局が新蘇花公路(省道9号線) を完成させたことで、状況は大きく改善された。新しい道路の開通により、多くの交通が旧道(省道9丁号線)へ流れるのを防ぎ、一部の区間では自転車専用道路のように快適に走行できるエリア も生まれている。以下の青色で示された区間は、比較的走りやすいエリアとなっている:
- 大清水(Daqingshui)~ 和中(Hezhong):10.7km、総獲得標高 252m
- 和平(Heping)~ 南澳(Nanao):25.9km、総獲得標高 453m
- 東澳(Dongao)~ 蘇澳新(Suaoxing):18.84km、総獲得標高 420m
重複する区間
しかし、一部の区間では新旧の蘇花公路が合流し、車両の交通が集中する(上記の地図で赤色で示された区間)。これらの区間は以下の通り:
- 新城(Xincheng)~ 大清水(Daqingshui):12.66km、総獲得標高 323m(トンネル4か所)
- 崇德隧道(Chongde Tunnel):長さ 325m、幅 7.5m
- 匯德隧道(Huide Tunnel):長さ 1460m、幅 7.5m
- 錦文隧道(Jinwen Tunnel):長さ 406m
- 大清水隧道(Daqingshui Tunnel):長さ 521m、幅 7.5m
- 和中(Hezhong)~ 和平(Heping):3.63km、総獲得標高 24m
- 南澳(Nanao)~ 東澳(Dongao):10.94km、総獲得標高 275m(トンネル1か所)
- 新澳隧道(Xinao Tunnel):長さ 1267m、2本のトンネル(北行トンネルは2車線)
戦略とアドバイス
蘇花公路をサイクリングすることを決めた場合、以下のポイントに注意して安全に走行しよう。
天候の良い日を選ぶ
- 悪天候の中でのライドは楽しくないだけでなく、リスクが高まる。晴れた日を選ぶのがベスト。
大型トラックの特性を理解する
- 大型トラックは騒音が大きいが、運転手はこのルートに精通している。通常、安全に追い越せるタイミングを待ってくれる。トラックが安全に追い越せるよう、2人ずつのグループで走行する のがおすすめ。長い列を作ると、トラックの追い越しが難しくなる。
北上(反時計回り)が有利
- 北向き(反時計回り)に走行すると、観光スポットの多くが海側にあり、台湾は右側通行のため、海の景色を楽しみながら走ることができる。また、道路を横断せずに停車しやすく、落石の発見もしやすい。
北上する場合のポイント
- 1日のスタートを早め、崇徳~大清水間の4つのトンネルを、交通量が増える前に通過する。大清水以降は、旧蘇花公路(9丁/9D)にトンネルが集中しており、交通量が少ないため、より走りやすい。
- 最後の合流区間である南澳~東澳 は、11kmの距離と275mの登坂があり、さらに1.2kmのトンネルを通過する必要がある。
- 体力、交通状況、天候、時間を考慮し、安全を確保できない場合は、列車で東澳または蘇澳新まで移動するのも選択肢 となる(自転車を分解せずにそのまま乗せられる列車あり)。
南下する場合のポイント
- 1日のスタートを早め、南澳~東澳間を交通量が増える前に通過する ことが重要。
昼休みを活用する
- トラックのドライバーは12:00~13:00の間に昼休憩を取ることが多いため、この時間帯は交通量が減る。この時間を利用して、混雑しやすい合流区間を通過するのが良い戦略となる。
当サイトのブログ記事では、毎日輪行袋なしで自転車を持ち込める列車の情報 や、公共交通機関での自転車の利用方法について詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。